消費税増税は誰のため?今知っておくべき日本のお金事情

消費税増税が2017年4月→2019年10月まで「2年半」延期されることとなりました。
私たち消費者からすれば「増税延期になったんだ!まぁ先送りになってよかったなー」という感想かもしれません。
しかし、そもそも消費税増税は何のために、誰のために行われるものなのでしょうか?

国で決まったことだから従うしかない・・・と受け入れてしまうこともできます。
ただ、日本に住んでいる誰しも、他人事ではないのです。

今だからこそ、改めて知っておくべき、日本のお金事情。
消費税増税の意味、そして、延期による影響をまとめてみたいと思います。

日本の財布事情を知る

そもそも消費税増税を行う必要はどこにあるのか。

一番思い浮かぶのは「国の借金を返すため
次に思い浮かぶのが「社会保障に充てるため
上記はTVなどのメディアで騒がれているイメージがあると思います。

この答えを知るには国のお財布事情をしっかり知ることが大事です。
家計でも「どこからお金をもらって(収入)、何にお金を使っているのか?(支出)を把握する」は基本中の基本ですよね。

では2015年度の国の収入【歳入】と支出【歳出】を見ていきましょう。


【歳入】国の収入

①租税及び 印紙収入: 576,040億円(59.6%) 
●直接税
・所得税:17兆9,750億円 (18.6%)
・法人税 :12兆2,330億円( 12.6%)
・相続税: 1兆9,210 (2.0%)
●間接税
消費税 :17兆1,850 億円(17.8%)
・その他: 8兆2,900 億円(8.6%)

公債金 :34兆4,320億円( 35.6%)
 ※国債を発行して得たお金

③その他収入: 4兆6,858億円( 4.8%)


【歳出】国の支出

①基礎的財政収支 対象経費: 73兆1,097億円( 75.6% )
社会保障 :31兆9,738億円( 33.1%)
・地方交付税 交付金等 :15兆2,811億円( 15.8%)  
・公共事業: 5兆9,737億円( 6.2%)
・文教及び 科学振興 :5兆3,580億円( 5.5%)
・防衛 :5兆541億円 (5.2%)
・その他 :9兆4,690億円( 9.8%)

国債費: 23兆6,121億円( 24.4%)
 


歳入の約60%は税金です。その中で消費税は、17.8%と所得税に次いで、2番目に大きな収益です。
ただ、公債金(国債を発行して得るお金)を34兆円も刷らなければいけないほど日本は借金が増大しています。

歳出の約75%は必要経費と言われるものですが、約32兆円(33.1%)にも膨れあがった社会保障も今後の大きな課題です。
そして、約25%の国債費は、借金の返済にあたります。

国をひとつの家庭に例えるなら・・

毎月30万円の収入があるとすると、7万3,200円のローン返済を行っているものの、新たに10万6,800円の借金をしている計算です。
つまり毎月33,600円ずつ借金は着々と増えているのです。

このまま放っておいたら、家庭は崩壊ですよね。そう、国も同じです。

家計ならば、節約をするか、収入を増やすかという選択になります。
これもまた、国も同じことを考えます。

消費税増税は何のため?

闇雲に「増税しないと日本は破綻するんだ!」という増税推進派の意見を鵜呑みにしてもいけません。
増税が行われる理由について、紐解いていきましょう。

さきほどの日本の借金についてですが、財務省は2015年度末時点で1049兆3661億円になったと発表しています。
途方もない数字で何のことやらと思ってしまいますが、国民1人あたり826万円の借金がある計算になります。

どんな恐ろしい国だよと思ってしまいますが、これが日本です。
あまり目を背けていると恐ろしい未来が待っているので、この辺で目を見開いていくしかありません。
過去の失敗も、今まで作り続けている借金も良き糧だったと思うしかないのです。

「私たちが死ぬまではいい想いをしたい」と考えているかもしれませんが、
これからの時代を子供も、孫も生きるのです。
「悪しき習慣を変えられる」と信じなければいけない局面であることは事実です。

さて、増税の理由として、財務省のHPではこのように説明されています。

なぜ所得税や法人税ではなく、消費税の引上げを行うのでしょうか?

ご質問にお答えいたします。

今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。

また、ここ10年くらいで見ると、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、消費税は毎年10兆円程度(注)の税収が続いており、税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。

(注)地方消費税を除く4%分

 ちょっと分かりにくいかと思いますので、箇条書きで簡潔にまとめてみました。

  • 高齢化社会なので、社会保障はどんどん膨らんでいく
    所得税や法人税だと若い世代の負担が大きいから、国民全体からとれる消費税でお金を確保したい。
  • 所得税や法人税は景気によって変動するけど、消費税は景気に左右されにくいから

つまり、社会保障の財源を確保するために、必要な政策なんだよ。ということのようですが・・
これは5%→8%に上げる時にも、同じような説明をしていますが、現実は違ったのです。

過去、消費税増税した時の増収の使い道

2014年4月から、5%→8%へ消費税が上がった際に、増収5兆円となりました。
これだけなら、喜ばしいことなのですが、使い道には疑問しかありません。

まず、社会保障には約5000億円を投下しました。
3000億円:待機児童解消など子育て支援。
620億円:低所得者の国民健康保険料を軽減。
50億円:高額療養費制度の拡充。
300億円:難病対策。
1000億円:医療、介護のサービス提供体制整備。
10億円:遺族年金の支給を父子家庭に拡大。
合計:4980億円

そして、残りの4.5兆円は借金返済に充てられたのです。
2兆9500億円:基礎年金の安定財源
1兆4500億円:高齢化による社会保障費の自然増や赤字国債の解消
2000億円:物価上昇への対応

言ってることとやってることは違うじゃないかと思います。
今まで、社会保障は財源が確保できずに借金で賄われていました。
財源が確保できた=充実ではなく補填なのです。

ただ、ひとつの家庭であれば、「やむを得ない」という答えもあります。

毎月、毎月新たに借金してるのです。誰だって、お金返したいですよね。

いいんですよ。本当のこと言ってくれれば。「借金返したいです!」って。
選挙で勝つために「社会保障充実させます!」と嘘つくから、余計に信用できなくなる。
そういう負の連鎖、いい加減断ち切りたいところです。

増税で「消費を控える」というのは当たり前

消費税8%への増税は景気回復を目指すアベノミクスにとって、大きな影を落とす結果となっています。
GDP(国内総生産)の60%を占める個人消費は振るわず、給与アップも中小企業まで届いていません。

給与は大して上がらないのに、増税で単価は上がっている。

普通に家計を考えれば、「消費を控える」という選択は至って当たり前の行動です。

しかも、5%→8%の時は「増税前に買いたい」という声もあったが、
8%→10%は「増税に備えて出費を控える」という結果が多くなっています。
※博報堂生活総研しらべ

この消費者心理は至極当然ですよね。
まずは給与、つまり入ってくるお金が増えない限り、消費を促そうとはなりません。

消費税増税は誰のため?

景気が振るわないような中々抜け出せない不況の波を推し進めてまで、
消費税増税を行う必要があるのは、いったい誰のためなのでしょうか?

国民?・・・いえ、私は財務省のためだと思っています。

消費税増税をして、トクをするのは、財務省だからです。
なぜトクをするのかは「増税」とセットで行われる「軽減税率」にあります。

すべてが消費税10%になると、国民は益々、消費を起こさなくなります。
その回避のために「軽減税率」は必ずセットで行われるのです。
ただ、どこの業界、どんな商品に対して、税率を軽くするのか。

さまざまな業界が自分のところを税率を軽くしてもらえるように、財務省へお願いしたいのです。
つまり、天下りポストを多くの業界に確保することができるのです。

そして、税収がアップすれば、予算が増えます。
税収が上がらなくても「軽減税率」で天下りポスト。税収が上がれば「予算アップで省益アップ」
財務省にとって、いいことばかりです。

「2年半」の意図

そして、今回の延期は2年半後の2019年10月となっています。
安部首相は「次は絶対に伸ばさない、実施する。」と言われていますが、
前回もそう言っておられましたので、2度あることは3度あるというところでしょうか。

東京オリンピックでの景気回復を見込んでいるという声もありますが、
それは東京都のみです。10%に増税されて、地方はどうするのか?
ますます格差が広がるばかりです。

そして、なんといっても、安部首相の任期は2018年9月までです。
つまり次回の選挙戦での足かせである「増税」を排除しておきたい考えが少なからずあるように感じます。

株価への影響は?

今回の10%増税の延期は、株価において、プラス要因であることは明らかです。
ただでさえ、日本の円高、中国経済の急減速、資源国の破綻リスク、ヨーロッパの金融懸念など世界情勢は良い状況とはいえないときに、
10%増税を実行すれば、株価暴落は目に見えています。

また、2018年以降に延期されたことにより、継続して安定政権が続くとにらんだ海外投資家が引き続き
「日本はまだまだ安定している、買いだ」と感じてくれる可能性も上がります。

ただし、20,000円に到達するか否かという議論ではなく、
今よりは上向く可能性があるという程度だと思っています。
すべてはこれからの施策次第ではないでしょうか。

私自身は、今、買い時だとは思っていません。

消費税増税の延期が及ぼす影響についてまとめ

日本は「東京オリンピックで経済的にピークを迎える」とも言われています。
2020年以降、日本経済は足止めを食らうことになるのか?
それとも大きな展開を見せるのか。

増税が及ぼす影響も、これまでため込んできた借金同様、真摯に向き合う必要があります。

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NAOKO
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ABOUTこの記事をかいた人

naoko

・合同会社BLEND 代表
・Webコンサルタント
・日本FP協会 AFP(Affiliated Financial Planner)
・キャリアコンサルタント
・投資家(株式、不動産)
福岡在住の32歳。
リクルートでの営業、やずやでの通販業務、(株)ペンシルでのコンサルティングを経験後、出産を機に退職。
子育てをしながら起業。
合同会社を設立し、IT関連の仕事をしつつ、株や不動産に投資し、資産運用に取り組み中。
現在の不労所得は月10万円